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 女性外来創設者(対馬ルリ子先生)が語る女性の保健室 

「子宮頸がんサバイバー」阿南里恵さん(23歳のときに子宮頸がんになり、子宮のすべてを摘出。後遺症のリンパ浮腫に襲われ、職を転々とする。2010年から自らの体験を語るボランティア活動を開始。がんの予防・啓発活動に取り組む)が、彼女の「ガン」を発見してくれた「女性外来」創始者対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・女性ライフクリニック新宿(医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス)理事長 対馬ルリ子先生とガン予防検診について赤裸々に語ります。

 

 

阿南里恵さん:

対馬先生は「どうして産婦人科になろう!」と思われたのですか?

 

女性外来

 

対馬ルリ子先生:

 ばく然とですが、高校ぐらいの時に女性をテーマにした仕事をやろうと思ったんですね。というのは、私は田舎で育ったので周囲の「女の子はこうあるべき」というのが強かったんです。父が開業医で医者だったので、うちの父は私には何も言わなかったけれど、女きょうだいだけだったので、周りの人に「女の子ばかりで残念ね」とか「でも、女の子でもお婿さんを取ればいいのよ」と言われたり、自分の生き方を周りの人が「ああしろ!こうしろ!」と言うのですごく嫌だなというのがあって。「自分の生き方を自分で決めることが何故できないんだろう?」と思っていました。

 

 だから、私は女性を応援して、みんなが自分の生き方を自分で選べるようにするのを自分の仕事にすれば、自分も自分で選べる生き方ができると思ったんです。だから、女性をテーマに仕事をしようと思いました

 

 医学部に進んだのは、医者になって、自分で生きていけるという、いろいろなことに応用できる勉強かもしれないからやってみようと思いました。大学の時に東大の医学部って受けたんだけど、落ちまして。でも、卒業してから産婦人科のトレーニングをする時に入れてもらいました。男の仕事である産婦人科に女は要らないと考えられ、産婦人科に女は来るべきじゃないって、大変な仕事だから女の仕事じゃないよと言われていたのを、「じゃあ、ぜひ産婦人科をやらせてください!」と入れてもらったわけね。

 

阿南里恵さん:

 今は開業されて、女性のための総合クリニックをされていますけれども、もともとそういう思いで大学病院で働かれていたんですか?

 

対馬ルリ子先生:

 特に、妊娠している女の人とか、出産の人、あるいはお仕事と病気の治療を両立しているとか、そういう人たちを具体的に助けるスキルをまず身につけようと思ったのね。それで入ったというのがありますよね。特に、女は来るなと言われると、ちょっと燃えるたちで。でも入局時は「悪いことを言わないから、耳鼻科とか皮膚科になったほうが良いよ」って言われたんだけど。でも、そう言われると余計ね。女の人が少ない世界だし、やっぱり女性がやるという意味があるんじゃないかと思って入れてもらったんです。

 

阿南里恵さん:

 今は銀座という場所で開業されていますけれども、それって簡単なことじゃないと思うんです。すごく興味があるんですけれども。

 

対馬ルリ子先生:

 私は一応東大の産婦人科で産婦人科医として10年以上続けていた頃に、だいたい一人前に認められるようになったのね。その後、周産期センターというところで医長をやって、責任を持つ立場で仕事していたんですけれども。やっぱり妊娠してからトラブルが見つかる人がすごく多い。あるいはノーケアというか、ちゃんとケアしていなかったためにお産も大変になったり、お母さんや赤ちゃんに大きな障害が残るとか。そういうケースがあまりに多いので、やっぱり妊娠前に女の人に健康を守ることについて知ってもらわないといけないと思って。それで大きい病院を辞めたんです。

 

 それで「じゃあ何をしよう?」というときに、生涯の女性の健康を守るという仕事というのを、思春期から老年期までつなげるという。今もそうなんですけれども、それって産婦人科医としてはまだ無い分野なんですね。やっぱり、産婦人科医ってお産をやったり手術をやったり、あるいはガンの手術とかをやっているじゃない?最近は不妊の治療も先端医療としてやっているけれども、やっぱり、一般の女の人に寄り添う仕事というのは、誰かがやらなきゃいけないと思っていて。それだったら大きな病院ではなくて生活に近いところで。でも、女の人が嫌な思い出として産婦人科に来るんじゃなく、受診をいい思い出にしてほしいと思ったのね。

 

 銀座はたまたま知り合いの先生が「使っていない場所があるから、どう?使わない?」と、おっしゃってくださって。当初はすごく狭い場所で、本当に一部屋しかないような小さいビルの一室で。そこは女性の「都会の女性の保健室」にしようと思って作ったんです。でもすぐに、すごくたくさんの人が来てくれるようになって、やっぱりこういう所ってすごく必要とされているんだなと思ったので。

 

阿南里恵さん:

 先生はおいくつの時に開業されたんですか?

 

対馬ルリ子先生:

 42歳の時に「よし!じゃぁ、大きい病院を辞めて、こういう仕事をやってみよう」と思ったんですね。もちろんその前には、女性の健康センターが必要と思って大学に行ったり、厚生省に相談したりはしたんだけれど。みんな、自分が与えられた臓器医療…産婦人科は子宮や卵巣、それから乳房の科とか、そういうふうに分断された専門医療がたくさんあるんだけれど、それを統合したり横につなぐという新しい考え方はまだないなと思ったんですね。

 

 アメリカとかではウィメンズヘルスっていう分野があって、ウィメンズヘルスセンターオブエクセレンスという健康センターができているんだけれど、なんで日本にないんだろうと思って、いろいろなところに聞きに行ったんですよね。そうしたら、そもそもそういう構造になっていないって言われて。

 

「えー、じゃぁ、私がやりたいのは女性を全人的に診て、それもずっと寄り添って診ていく医療なんだけど、それはどこでやればいいの?」って考え、自分でやるしかないんだなって。それで、まず都会で働く女性の保健室を作り、そこにいろんな人に関わってもらって、少しずつ「女性外来」というのを作っていったんです。その頃に、そういう気持ちを書いておいたほうが良いよって言われて、拙い文章ながら、なんとか自分で書いてですね、『女性外来が変える日本の医療』という本を書いたんですけど。「女性外来」という言葉も、その時、私がタイトルを付けなくちゃいけなくて考えたのね。女性を全人的に診て、それもずっと長く一生診ていく診療というのをやりたくて。

 

 

女性外来が変える日本の医療

 

 

阿南里恵さん:

それが実現…。

 

対馬ルリ子先生:

 女性外来が一時的なものではなくて、少しずつ根付いていったのは、たぶん、私だけじゃなく、同じことを考えている女性医師とか、女性医療者が多かったんだろうなと思うんです。「そして、思春期から中高年まで、年齢によって大きく変わる女性のライフステージやホルモンステージに対応した、男性の体に準ずるものではない、女性の体と心に焦点を合わせた医療体制作りに多くの女性たちが動き始めた」って帯に書いてあるんですけど。それは本当に一つの歴史が始まった時だったと思います。

 

阿南里恵さん:

 女性の患者さんとしても、若いころから、そして歳をとるまで、ずっと同じかかりつけ医に相談できる場所ということですね。

 

対馬ルリ子先生:

 女性外来は女性発信、当事者発信の医療なんです。それと、私たちは臓器だけで生きているんじゃなくて、体もあり、心もあり、そして生活がある、一人の尊厳のあるトータルな存在であるということを忘れずにいようというふうに思いました。それで女性医療ネットワークというのも作ったんですけどね。

 

阿南里恵さん:

 このときそういう思いでいらして、実際に活動を広げられてきたと思うのですが、今、どんな活動をされているんですか?

 

対馬ルリ子先生:

 いろいろなことをやっているんですけれども。まず、子宮とか乳房に関しては…一般に健診というと男性と女性が一緒の健診で、会社でやってくれる健診もどっちかっていうと男性に多い病気、メタボリックシンドロームとかをチェックしていますよね。

 

 じゃあ、女性はどういう検診を受けたほうが良いかというと、子宮がん検診や乳がん検診。受けたほうが良いんだけど、会社でやってくれないところもあります。それから自治体検診も、それぞれ自分で受けてくださいみたいに来るんですけれども、やっぱり皆さん、血液検査とか内科の健診は受けやすいんだけれども、子宮がん検診などの婦人科系と、乳がんの検診って受けにくいですよね。なかなか抵抗が大きいです。

 

 だから、そういうことをもっと敷居が低く、もっと受けやすい体制を作ろうとか、情報発信をしようとか、あるいは病気になった人、例えば子宮や、乳房の病気になった人たちが、もっと生きやすく自信を持って社会生活を続けていくためのいろいろなサポートをしようというのを、まず一つやっていますね。

 

 それから、もう一つは、やっぱり女性のライフスタイルがすごく変わって、働きにくいとか、生きにくい時代になってしまっているので、女性が快適に働くとか、自信を持って自分のライフプランを立てるということに役に立てないかと思って。学校にお話ししに行くとか、学校保健の分野の人たちと、先生方や養護の先生方と協力しあって何かやるとか、あるいは職場のいろいろな、会社や健康保険組合の人たちと女性の健康について勉強したり、発信したりということもやっています。

 

阿南里恵さん:

 学校とか企業に入り込まれて啓発されている。

 

対馬ルリ子先生:

 日本の女性ってすごく努力家で頑張り屋さんなんだけれど、基本的な健康知識がないなって思うんです。検診を受けて、早めに病気を発見したり、予防意識を持ったりするというのが希薄な感じなんですよね。だから、それをどう啓発していけば良いのかというのもとても大きな問題です。

 

 それから、自己価値観が低いという問題があるんですけれども、自分なんかどうでも良いとか、自分にとって大事な家族とか、夫とかあるいは親だとかは一生懸命にお世話をするんだけれども、自分自身の世話を忘れているじゃないですか。そうすると後で重大なことが起こって苦しむことになってしまって、とても残念な状態の人が多いので、そういう人たちがもっと普段から自分を大事にしようという気持ちを持ってもらうためのことをやっています。

 

 それから、やっぱり自己価値が低かったり、あとちゃんとケアが出来ていないと、暴力を受けたり、虐待を受けたり、いろいろな事故に巻き込まれたりすることも多いんですよね。例えば、女性でシングルマザーは貧困になってしまう傾向があるけれども、自分たちの生活とか健康意識が子どもたちにもすぐに影響しますので、暴力がある家庭、あるいは貧困で健康意識が低い家庭だと、子どもたちに意識とか環境が伝わっていくんですよね。それはすごく速いサイクルで伝わっていったりします。

 

 例えば、15歳で子どもを産んで、学校にあまり行けずに、働けなくなったお母さんというかシングルマザーたちが、結局、風俗とか水商売しかやる仕事がない。そうすると、また劣悪な相当とパートナーシップを組んでしまって、また同じような暴力を受けたりというようなことがある。そこで育つ子どもたちが、そういう環境の中で早くにお家を出るしかなくなり、同じ環境で育ったりするんですよね。そういうのを見ていると、やっぱり、女の人に知識や教育は大事だと思う

 

女性外来

 

阿南里恵さん:

 お母さんのほうが自分を大切にするという姿勢を子どもたちに伝えていく、見せていくというところから社会が変わるきっかけになるということですよね。

 

対馬ルリ子先生:

 そうですね。健康というのはただ単に病気がないというだけじゃなくて、体も心も、それから社会的な生活もwell-being?というのですが、良い状態であって、その人らしく生き生きとしていなければ健康とは言わないと、世界中で健康の定義として言っているので。私もぜひ一人一人のwell-beingって何なんだろう、本当の健康ってどうやって実現すれば良いのかを、みんなと一緒に考えていきたいと思うんですね。

 

 そういういろいろな問題って日本の中にまだたくさんある。もちろん世界にもたくさんあるんだけれども、それを取り組んで、なるべく良い状態にしようというときに、保健制度という国のシステムとか、医療の環境とか、あるいは国全体がそれにお金や労力、情熱を傾けてくれるかというのはすごく大きな問題なので、最近私たちは法律とか国の保健、医療制度とか、女性に対する国の支援をもっとちゃんと充実させてほしいという活動もしている。

 

 例えば、政策提言活動だったり、いろいろな。もちろん私たちは政治とは関係のない医療の世界にいるんですけれども、臨床家としていろいろな健康問題についてよく見えているというのもあるし、それから意識がある程度集まって、データが集まったときに、それをまとめて国に提出して、それをもとに次の世代の政策を考えてもらいたいというのはありますよね。

 

阿南里恵さん:

 なるほど。今、分かった気がするんですけど。きっと先生が女性の医師だからこそ、ただ病気に対して治療するだけではなく、トータルで女性の幸せを実現したいところが根底にあるから、医療を超えたところまで活動が広がってきていらっしゃる。

 

対馬ルリ子先生:

 自然にそうなってきましたよね。これからは私たちは生きている間にできることをして、次の世代に引き継いでいきたいと思っているし、少しでも良い状態にして次の世代にって思いますよね。

 

阿南里恵さん:

 最近、若い女性あるいは一般的ないろいろな世代の女性の中で、特に増えている病気というのはありますか?

 

対馬ルリ子先生:

 実は月経の回数がすごく増えているということが問題になっているんです。昔の女の人って、若いうちから、例えば10代のうちから、あるいは二十歳前後から子どもを産み始めましたよね。なるべくたくさん子どもを産んでいくという生活をしていて、一生の中に月経の回数って50回くらいしかなかったといわれているんですね。

 

阿南里恵さん:

 確かに、昔って9人とか兄弟がいて、10人とかいますよね。

 

対馬ルリ子先生:

 それもお母さんがずっと授乳していたでしょ。赤ちゃんにおっぱいをあげているか、あるいは妊娠中か、どっちかだったので。ずっと子どもを産み続けていると一生の中で50回くらいしか月経がないといわれているんです。栄養状態もあまり良くなかったので、初経の時期も遅れて15?16歳だったり。15?16歳で初経がきてお嫁入して、子どもを産んでみたいな感じだったのが、今は初経が11歳から12歳。閉経が51歳だから。例えば、その間に子どもを1人か2人産んだとしても500回近い月経がきている計算です。

 

 月経というのは自然なもので、毎月くるのは当たり前とみんな思っているかもしれないけれども、実は子宮の中に溜まった子宮内膜というのが剥がれて出ていくときって、血管をぶちぶちっと断裂して、血が出ていくわけです。そして中に溜まったものを子宮がぎゅっと押し出す…それが月経痛なんですけどね…で出ていくんです。その時に卵管という管が2本上のほうにあって、その中に逆流してお腹の中に月経血がばらまかれているんですよ。結局、それを繰り返すとお腹の中に月経血がばらまかれ、中で生着して育っていく。お腹の中に子宮内膜があちこちくっついて、血豆みたいになっていくんです。それがホルモンの変動と一緒に、次の月経の時にそこで出血し、また次の月経がくると出血しと、月経がくればくるほど、どんどん子宮内膜症が進んでいくんですね。

 

 子宮内膜症というのはお腹の中に溜まった血がどんどん膨れていって、それが炎症を起こして、炎症が治るときに癒着して、また次の月経で出血して炎症を起こしてまた癒着してという、そういう繰り返しで進んでいくので。

 

 今、20代ぐらいで気づかないうちに卵巣に血が溜まったチョコレート嚢胞という卵巣嚢腫が、5センチとかになっていたり。あるいは月経のときに、チョコレート嚢胞がびりっと破れてお腹の中にどろどろと古い血が流れていって腹膜炎になったりとか。痛くて痛くて七転八倒しますよね。気が付かないうちにそうなって、救急車で運ばれて。私がいた病院に救命救急センターがあったのですが、よく女の人が救急外来で運ばれて、お腹を30センチも切り開かれて中を見たら、卵巣が破裂していたので卵巣を取っておきましたというのがよくあったんですよ。

 

 

 

阿南里恵さん:

 そういうふうになるまで自覚症状ってないんですか?

 

対馬ルリ子先生:

 月経痛が重いだけって思ってる人もいるわけね。昔から「月経痛っていうのは若い子は重いものよ」とか言われて、例えば、お母さんが「私も昔は月経痛が重かったのよ」って言って。だからそのまま放っておく子が多いですね。そうすると、そういうトラブルになって、お腹に30センチもの大きな傷が残る、卵巣は取られちゃう、お腹の中は癒着だらけ、いざ妊娠という時にはどうしようという。そういう人は意外と多いです。

 

 子宮内膜症って、10年以上前の統計で10人に1人とか言われていたんですけれど、私の感覚では、特に都会の…出産期の遅い女性がいっぱいいますよね。そういう人たちの中には5人に1人とか、もっといるかもしれない。ストレスが多い人ほどなぜか逆流が多くなり、子宮内膜症になりやすいと言われているから。本当に忙しく働いているキャリアウーマンほど、どんどん子宮内膜症になっちゃう…かもしれないですよね。本当に、今の問題は、そういう実態が全然掴めていない。そういうことが一番の問題だと思います。

 

女性外来

 

阿南里恵さん:

 ということは、先ほど先生がおっしゃっていたように、かかりつけ医があれば、もしかしたら早く見つけられる病気もある、他にもあるかもしれない。

 

対馬ルリ子先生:

 ちゃんと定期的な検診を。症状がなくても、若いころから検診を受けていると、子宮内膜症が発症してくるときに早くわかるし、超音波で見たときに癒着があるのかとか、卵巣に血が溜まっていないかとか、そういうのはすぐにチェックできるのでね。それプラス、早くお手当てができて不妊の予防になる。あと統計が取れていないのが一番の問題なの。

 

 例えば、今の若い女の子には何人に1人、生理痛が重いと内膜症になりやすいですよとか、そういう情報もやっぱりデータがあったほうが圧倒的に説得力があるので、ちゃんと調査研究して、データをとって、それをみんなに返せるような。少なくともそういう施設がないとできないです。

 

 たくさんの女の子が気軽に、敷居が低く相談できれば、子宮内膜症とかも発見しやすいし、それって結局は不妊の予防になったりするわけですからね。データも取れるし、研究も治療もできる女性医療センターが必要です。その子のために一番必要なことを早く提供できることが本当に必要だと思うんです。

 

阿南里恵さん:

 最近、芸能人の方でも若くても乳がんの患者さんとかいらっしゃると思うんですけど、若い女性にガンって実際に増えているんですか?

 

対馬ルリ子先生:

 乳がんはものすごく増えていますよね。乳がんも授乳の回数や期間が少ないほどなりやすいので。

 

阿南里恵さん:

 さっきにつながる部分…。

 

対馬ルリ子先生:

 そうですね。ライフスタイルが変わって、乳房とか子宮を赤ちゃんを産んで授乳するということに使いにくくなっています。使うタイミングもものすごく遅れてしまっているので。例えば、妊娠しなければ婦人科に行かない、乳房も誰も診ないということであれば、何十年という間、子宮も乳房も、ホルモンの波とか月経とかいろいろなことに晒されて病気になりやすいんだけれども、発見が遅れるということになってしまっている。

 

 私が知っている一番若い乳がんの患者さんは22歳なんです。そういう人たちは自分でしこりにさわって発見しているけれど、そして20代は乳がんは少ないけれども、やっぱりその前にどういう健診を受けたほうが良いのかとか、健診の内容も、自分は超音波を一回受けたらこうだったとか、マンモグラフィーを一回取ってみたけどこうだったとか、そういう情報を自分で持っていると、そろそろ私は次の健診を受けたほうが良いとか、わかりますよね。

 

阿南里恵さん:

 先生、その「そろそろ」って。がん検診ってよく聞くんですけれども、そもそもどういう人が対象というのがあるんですか?

 

対馬ルリ子先生:

 あります。一番リスクが高い年代に対して、例えば子宮頸がんの検診は20歳から、乳がんの検診は40歳から、自治体もお金を出していますし、世界中でいつも見直しがされていて、一番やったほうがいい年齢というのが情報としては出ているんです。ただ、それが日本の国のシステムとして一般の人がみんなやるべきシステムという風にはなかなかなりにくい。実は個別健診というのが本当は必要で、自分にとって、いつどういう健診を受けたほうが良いのかというのもみんな知りたい情報ですが、その情報提供をするという意味でも女性外来の役割は大きいと思うんです、

 

 だから、最初は相談みたいなので良いんですよ。うちに来られているケースは、お母さんが10代のお子さんを連れてきて、生理痛がちょっと重いとか、最近、生理が不順ですとか、そういうお話をしたり、ちょっと超音波を見てみようか、お腹の上から子宮とか卵巣を見てみようかみたいなことを経験するだけで、「あ、何かあったらここにくれば良いんだ」みたいな理解になる。お母さんからの情報提供にもなるし、お母さんに対する信頼も増すし、あと、本人がお母さんに言えないようなことが起こった時に、それこそレイプされちゃいましたとか。そういうトラブルの時、本当に女の子たちは親に言えないですよ。本当は言っても良いのよ、お母さんが一番あなたの味方だからって言っても言えないんですよ。でも、ここに来ればっていうのは、知っている子にとっては救いの綱みたいになっている。そういう意味では、一回でも良いから、こういうところがあるとか、来てみてお話ししたことがあるとか、経験はとても大事だと思います。

 

阿南里恵さん:

 確かに、痛いとか症状があってもなくても来れる場所というのを作っていかなきゃいけないということですよね。

 

対馬ルリ子先生:

 世界各国にはファミリードクターとか、ジェネラルプラクティショナーとか、いろいろな相談に乗ったり、情報提供をする、保健(ヘルスケア)の専門家というのを作っているんですけれど、日本はヘルスケアのシステムが妊娠時以外はないので、専門家だけが…乳がん手術をする人たち、子宮がんの手術をする人たちだけがそれぞれ医療をやっている中で、やっぱり一般の女の人は病院にかかりにくいし、どうやって自分の心配事を解決したり、本当に隠れているリスクというのを発見したりできるんだろうと思います。

 

阿南里恵さん:

 ということは、患者さんの側も知識がある患者さんは早期発見や予防がどんどんできるけれども、知識がないと、結局、全部遅れての発見ということになってしまうわけですね。

 

対馬ルリ子先生:

 本当に可哀そうな状態になってしまう人を私たちはいっぱい見ているの。どうしてこんなになるまで誰も相談にのってあげたり、手を差し伸べられなかったのかって思うとね、悔しい思いをします。

 

 日本の女の人はみんな本当に真面目で頑張り屋さんです。でも、我慢とか諦めが強くて、自分に対する価値観というか自己価値観が低いところがあるので、本当は困っているのにずっと我慢している人がいます。若い人たちも、そういうお母さんやおばあちゃんたちをずっと見て育つと、どうしても自分が困った時に相談しにくい、それから知識がないまま大きな病気に陥ってしまうことがあるので、やっぱり私たち医療者だけでなくて、たくさんの人が女性の健康に関して興味を持って、普段から「相談しにいったほうが良いよ」とか、健診を受けたほうが良いよとか言ってすすめていただきたいなと思っています。

 

 それは、女性が自分のために、自分の健康を守って、元気に働くために、あるいは将来自分がやりたいことを実現するために大事ことだけではなくて、女性は地域のかなめでもあり、家庭のかなめでもあり、日本の国や世界に貢献できる存在でもあるので、みんなが女性を助けることによって、その女性たちがたくさんの人を助けたり育てたり、協力しあって、元気で平和で健康な社会を作れることになります。だから、ぜひ女性を応援し、女性がみんなを助けたり応援したりできるようにしてください。私は、どの人にも関係があることだと思っています。そして、たくさんの人がそれによって幸せに生きていただきたいと思っています。

 

阿南里恵さん:

 私は23歳の時に子宮頸ガンになりまして、実は、一番最初に対馬先生に見つけてもらったんですね。23歳から今35歳になりますけれども、普通に皆さんと同じように仕事をして、そして親の病気をサポートしたり介護したりというのを経験してきました。その中でやはり一番は健康が全てなんだと強く思います。家庭を築くにも、仕事を思いっきりやるにも、何においても健康であることが大切で、今日、対馬先生に教えていただいたみたいに、婦人科のかかりつけ医というのは女性にとって大変有益なものであると感じました。

 

 子宮頸がん検診は二十歳から、乳がん検診は40歳から。まだ行ったことがないという方は、ぜひこの機会に検診を受けにいきましょう。

 

女性外来

 

 

 女性外来とは?

 女性外来とは、広く女性のための医療を行う外来のことです。近年、女性医師たちが中心となり、「女性外来」が全国の病院に設けられています。

 どうして「女性外来」が支持されているかというと、とくに、若い女性ほど、女性は女性医師に診てもらいたいと希望する人が多い傾向があるようです。もちろん、泌尿器科や肛門科、乳腺外科なども含めて、とくに産婦人科で性器や胸を男性医師にさらすのは、年に関係なく、女性には抵抗があります。

  また、「産婦人科=内診」という印象ががあり、我慢できなくなるまでなかなか病院には足が向かない女性が多いようです。

 そして、月経のつらさ、更年期の悩み、ましては性に関係することなど、男性の医師には話しにくく、そのため、「できるだけ病院は受診したくない」、と思う女性が多かったようです。

 さらに、クライアントの女性の願いは、健康はもちろん、美容という側面も大きいと思います。

 ですので、クライアントの女性の心の奥底のニーズをきちんと理解した適切な治療を医療に期待し、そして、女性は女性である女医さんを望んでいるといえます。

 女性外来はクリニック全体が女性外来である場合、ビルの中に何軒かのクリニックが入って提携している場合、総合病院の一診療科として開設されている場合など、いろいろあります。

 どの医療機関にも開設されているとはかぎりません