尿もれ
人知れず尿もれに苦しんでいる女性は、実は多いのです。40歳代以降の女性では、4人に1人ぐらいの割合と意外に多くの女性が尿もれで悩んでいるといわます。また、せきやくしゃみをしたりしたときに1度でもオシッコがもれたことのある人になると2人に1人くらいになってきます。特別なことでも、恥ずかしいことでもないので、医師に相談してみましょう。
■腹圧性尿失禁
ひとことで尿もれといってもいろいろなタイプがありますが、40歳代から60歳代くらいまの女性の尿もれで一番多いのが腹圧性尿失禁です。このタイプの尿失禁は、妊娠、出産、老化などで、骨盤内の臓器を支え、尿道を締める働きをしている骨盤底筋といわれる筋肉が弱るんで、膀胱の出口付近の膀胱頚部の位置が固定されないためおこります。
そして、くしゃみをする、重いものを持ったり、お腹に力が入ったときに、尿道が十分に閉鎖されず、尿が漏れてしまうものです。座ったり、寝ているとき(安静時)にはほとんど洩れません。このタイプの尿失禁は男性に少なく、ほとんどの場合、女性に見られます。
■「腹圧性尿失禁」の治療法
「腹圧性尿失禁」の治療には、弱まった骨盤底筋肉群を鍛える運動(骨盤底運動)をすることが効果的です。
方法は、簡単です。
@ 肛門から膣、尿道にかけてゆっくり息を吸いながらギューと締め上げます。
A この状態で、1分間に約10秒〜15秒保持し、
B その後、数十秒は力を抜いて、元に戻します。
これを1日10分間程繰り返します。
症状の軽い人は、これだけで良くなることがあり、早ければ2〜3週間で効果が出てくると思います。
しかし、尿洩れパッドなどがなければ生活できないような症状の重い人は、先の運動に加えて、尿道を締める薬などの服用や手術が必要になることがあります。薬には動悸(どうき)などの副作用が出る場合があるので、必ず泌尿器科医に相談してください。手術療法は、おなかを切らずに行う手術が主流で、最近は内視鏡を使って、コラーゲン(結合組織の主要成分になる蛋白質繊維)をぼうこうの出口に注入する手術も保健が適用されます。コラーゲン注入法は入院期間もほとんどなく、すぐ日常生活に戻れます。
尿もれは、初期のうちなら体操や薬で簡単に治すことも可能です。下着がぬれる程度の尿もれなら、それほど困ることはありません。しかし、そのまま筋肉が衰えていくと、歩いたり重いものをもったりするだけでも尿がもれるようになったりと、確実に困ったことになります。
いずれにしても、尿失禁はさまざまな原因で起こりますので、めんどうだから、恥ずかしいからといわず、早めの受診をお勧めします。