痔
痔は、女性が最も恥ずかしい病気なのに、実は、「中年男性の病気」というよりも、実は、「女性」、しかも「若い女性に多い病気」なのです。少し前までは、女性が痔になるきっかけの多くは、妊娠・出産でした。最近は、タバコ・お酒、刺激の強い食事、ストレスによる便秘や下痢、過度のダイエットなどのため、若い女性が痔になるケースが増えています。
■ 痔の種類
痔には、@いぼ痔とよばれる「痔核」、Aきれ痔とよばれる「裂肛」、Bあな痔とよばれる「痔ろう」があります。
■ いぼ痔(疣痔)
「痔核」は、痔の中でもっとも多いタイプ。おしりの血行が悪くなって、血管の一部がこぶ状になったものです。初期は出血が起こります。
一般には、「いぼ痔」とも呼ばれます。排便時の負担や、便秘や出産、スポーツによる「いきみ」などがおもな原因です。最初は痛みもとくになく、排便の際に出血するだけですが、症状が進むといぼが肛門の外に出て、元にもどらなくなり(脱肛)、はれて、痛むようになります。
● こんな症状なら「痔核(いぼ痔)」
・排便時に、血が出た
・排便後、便が出きっていない気がする
・肛門に、違和感がある
・肛門のまわりに、イボがある
■ きれ痔(疣痔)
「裂肛(きれ痔)」は、肛門の出口付近が切れて起こります。便秘でかたくなった便が、肛門の粘膜を傷つけてなることが最大の原因です。症状が進むと、傷が深くなって「肛門潰瘍」ができたり、激しい痛みで肛門括約筋が収縮し、肛門が狭くなる「肛門狭窄」を起こす場合、
傷口の外側が盛り上がり皮膚が分厚くなって、肛門から見えるところに「見張りいぼ」ができたり、
肛門の奥に、「肛門ポリープ」ができる場合があります。
● こんな症状なら「裂肛(きれ痔)」
・排便時に痛みがある
・排便後に、ジーンとした痛みが残る
・お尻を拭いた紙に血がつく
・便に鮮血がつく
・便が細くなる
■ あな痔(痔ろう)
「痔ろう(あな痔)」は、肛門の歯状線にある肛門小窩というくぼみの中に便中の細菌が入り込んで感染し、肛門の周囲に化膿性の穴があき、強い痛みを伴うことが特徴です。下痢便などから、細菌感染して炎症を起こします。押すと痛く、かゆみや熱感があり、血やウミが混じる場合もあります。
● ポイント!「痔ろう(あな痔)」
痔瘻は、手術をするしか完治させる方法はありません。
膿の出口となった皮膚の傷口がふさがっても、一旦できたトンネルはなくなりません。
症状が落ち着いても治ったわけではなく、痛みや腫れが再発することがあるため油断は禁物。まれにですが、放置しておくと「ガン化」することもありますので、早めに専門医を受診するよう心がけましょう。
■ 痔の診察
診察は、診察台で患部を診察するのですが、衣服、下着は少し下げていくだけで、左側(右側)を下にして右足(左足)を軽く曲げた姿勢(シムスの体位といいます)で、肌の露出が最小限です。
手術が必要なのは、痔ろう(抗生物質の服用だけでなく根治手術が必要)や日常生活に支障をきたす場合です。また、手術が必要な痔でも、手術のほとんどが、日帰りでの手術が増えてきています。また、手術の費用は、もちろん、保険が効きます。安心して、治療を受けましょう。
痔はだれにもあるものです。「恥ずかしい」という気持ちは当然ですが、痔だと思って実は、ガンだったりすることもありますので、自己判断は危険です。はやめに、専門医に相談されることをお勧めします。